おすすめの本



1.岡本綺堂著・結城信孝編「岡本綺堂 怪談選集」
酷暑の中、肝を冷やすお話はいかがでしょうか。「怪談」という言葉からイメージするおどろおどろしさは一切なく、文章は平易で簡潔。恨みつらみを言い募る幽霊も登場せず、残酷なことも起こらない。「怪談会で参加者が語った話」という体で、不可解な出来事とそれに慄く人々が描かれるだけですが、本当に怖いです。怖いもの見たさでのぞいてみませんか。サピエでは点字、デイジーを揃えています。


2.石牟礼 道子著「苦海浄土」
今年の2月に石牟礼 道子さんが亡くなりました。水俣病患者の心の声に耳をすませてつづった「苦海浄土」。この本は単に公害病である「水俣病」を告発するだけにとどまりません。「苦海浄土」に描かれた人々の生き方からは、「極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳」「苦しみや悲しみの底にあってなお朽ちない希望」が浮かび上がってきます。想像を絶する惨禍に見舞われたとき、人はどう再生し、生きていくことができるのか。さらには、公害を生んだ近代文明の根底的な批判や、そうした近代の病を無意識裡に支えてきた私たち一人一人の「罪」についても鋭く抉り出します。この本は、単なる公害告発のものではなく、文明論的な洞察がなされた著作でもあります。
出版されて50年近くが経とうとしていますが、以前読まれたことがある方も、読んだことがない方も、手に取ってみませんか。サピエでは点字、デイジー、カセットテープで揃えています。


3.西條奈加著「無暁の鈴」
寒村の寺に預けられた武家の子・久斎は、手ひどい裏切りにあい寺を飛び出す。盗みで食い繋ぐ万吉と出会った久斎は「無暁」と名乗り江戸に向かい…。若き僧の成長と、破天荒な生涯を描いた重厚な時代小説です。サピエでは点字及びデイジー着手中。


4.あさのあつ子著「にゃん!鈴江藩江戸屋敷見聞帳」
三万石の鈴江藩、江戸の上屋敷に奉公を始めた呉服商の娘、お糸。しかし仕える正室の珠子には猫の化身疑惑が!?さらに屋敷の中は権謀術数が飛び交い、何やら不穏な空気が…。時代小説としては羽目をはずした軽妙な作品です。サピエでは点字及びデイジー着手中。


5.北方謙三著「チンギス紀」
北方謙三さんが「最後の大長編」と位置付ける「チンギス紀」の刊行が始まった。主人公は広大なモンゴル帝国を築いたチンギス・カン。「歴史を書くという意識はそれほど強くない。結果として歴史が書かれているのであって、本当は人間を書きたい。テムジンを通して、人間をダイナミックに書けるという気がした。稀代の英雄は対峙して手ごわい。相当なバトルになるが、命を懸けてやりたい」と述べている。サピエでは「チンギス紀」1.2.3が点字及びデイジー着手中。

 


 

 

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