令和の春に

 

佐賀県立点字図書館
館長  野口 幸男

 

 

  新たな年を迎えてひと月がたちました。点字図書館利用者及びボランティア、ならびに点字図書館を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
ひと月遅れですが、新年のお慶びを申し上げます。旧年中は、点字図書館の引越し等で皆さま方には大変ご迷惑をおかけいたしました。本年も何卒よろしくお願いいたします。
点字図書館改築工事のこれからの工程ですが、次のように予定されております。令和2年1月から3月まで旧点字図書館の解体工事、令和2年度上半期に敷地護岸の改修工事、令和3年1月より新築工事が始まり、その後に外構工事が続き、令和4年4月に新点字図書館の開館となっております。
令和元年12月13日、点字図書館は旧佐賀県総合保健会館(点字図書館の南隣の建物)へ移転しました。引っ越しの当日、机や椅子や本棚等、そして約1,000箱の点字図書及び録音図書を運送業者さんに運んでいただきました。荷造りも大変でしたが荷ほどきも大変で、現在進行中です。移転先での業務が、これから2年以上続いていきます。皆さまには何かとご不便ご迷惑をおかけすることもあるかもしれません。お気づきの点ご不明な点等ございましたら、遠慮なくお申し付けくださいますようお願いいたします。
ところで、どこからともなく自分を呼ぶ声が聞こえたという経験はないでしょうか。ノルウェーの画家ムンクの「叫び」という絵ほどに強烈でなくても、ふと呼びかけられて振り返るようなことがあります。昨年9月、九州視覚障害者情報提供施設大会が熊本市で開催されました。研修と交流会とが終わった後、夜の町をぶらついていると、一軒の店の名前が目に入ってきました。きょろきょろとあたりを見回しましたが、その店を見つけ出すことは出来ませんでした。それから3か月ほど経ったある日、めざす店「オーデン」にたどり着いた私は、そこでドイツビールを飲んでいました。イギリスの詩人オーデン(Auden)を探していたのに、出会ったのはドイツのハイデルベルク郊外の森オーデン(Oden)でした。ああ勘違い、でもおいしいビールを味わうことが出来てめでたしめでたしでした。
点字図書館への通勤は電車と徒歩ですが、電車の窓からは佐賀平野の広がりそして雲仙普賢岳の姿を望むことが出来ます。麦畑の緑の色が、日増しに濃くなっていくように思えます。もうじき節分、そして立春が訪れようとしています。令和の春が皆さまにとって、心躍る季節となりますようお祈り申し上げます。

 



 


                                

 

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