師走から新春へ

 

佐賀県立点字図書館
館長  野口 幸男

 

 

 つかの間の秋が紅葉を吹き散らす風と共に去ると木枯らしの季節、そして、あわただしい歳末から新春へと時が移ろっていきます。
利用者及びボランティア、ならびに点字図書館を支えていただいております皆さまに、一年の感謝とともに、新しい年のご支援ご協力を心からお願い申し上げます。
 前号でお伝えしましたが、音訳ボランティアだった橋本ゆかりさんとのお別れの会が、10月9日に鳥栖市内のホテルで開催されました。60名近くの参加者があり、それぞれの立場でゆかりさんの思い出を語られ、凛とした彼女の生き方を偲ぶことが出来ました。また、音訳図書「天璋院 篤姫」を会場で流して、ゆかりさんの活動の一端を味わうことも出来ました。
 そして10月29日の読書会、講師の深川勝郎(ふかがわ かつろう)さんには、佐賀で過ごした幼年期少年期の悲喜こもごもの思い出を情感たっぷりに語っていただきました。課題図書の「佐賀駅上りホーム」を著された経過をもとに、自分史の書き方についてもご教示くださいました。講演の後に、デイジー版「佐賀駅上りホーム」から選んでいただいた三つのお話を会場で流しました。一緒に聴いておられた深川さんは、音訳された自分の文章に新たな感慨を覚えておられるようにも見受けられました。音訳図書を著者とともに聴くという得難い機会となりました。
 点字図書館の夏から秋は、研修の季節でもありました。情報機器の支援者講習会、九視情協大会、全視情協大会、視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド」等に参加する中で、情報提供施設の課題に気付かされたり、情報機器の操作について学んだり、他施設の実情を教えられたりと、職員たちは資質の向上に努めてきました。研修で得た成果を利用者やボランティアの方々に、様々な形で還元していけたらと願っています。また、11月中旬に開催された音訳指導者講習会には、音訳ボランティア2名に参加してもらいました。
 点字図書館の明日(あした)を切り開いていくのは、「誰なのか、何なのか」を問い続けながら、新たな年に向かっていきたいと思っています。
 12月には、利用者満足度調査を「聞き取り」方式で行う予定です。お忙しい中申し訳ございませんがご協力いただきますようお願いいたします。
少し早めですが、良いお年をお迎えください。

 



 


                                

 

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